星隆弘 連載評論『翻訳の中間溝――末松謙澄英訳『源氏物語』戻し訳』(第13回)をアップしましたぁ。式部殿恋バナですが、文章博士の娘さんと恋人同士になりました。『源氏物語』の時代、文章博士は漢学の先生です。したがって娘さんも漢学の英才教育を受けている。「迸る知才弁才には並の学者じゃ束になっても敵わない」娘です。
式部丞は恋文のやり取りをしますが「なよやかな仮名書きは一行とてなく、その真名(まな)のまこと雄々しいこと」とあります。娘さん、恋文を女手の平仮名ではなく漢文で寄越したのですね。うーんスゴい。まあそれだから式部丞は「才能より愛嬌、真でございますな」ということになるわけですが、こういう女性もいたのは面白いですね。
平安末期から鎌倉初期にかけてはけっこう面白い才女の話が伝わります。石川がお気に入りなのは『堤中納言物語』に登場する「虫めづる姫君」。この姫、引きこもりで虫が大好き。しかも毛虫なんかを飼っている。で、「鬼と女とは人に見えぬぞよき」とうそぶいたりする。抑圧された女の境遇をじゅうぶん知りながらそれを受け入れ、社会に反発している。カッコイイですね。
■星隆弘 連載評論『翻訳の中間溝――末松謙澄英訳『源氏物語』戻し訳』(第13回)縦書版■
■星隆弘 連載評論『翻訳の中間溝――末松謙澄英訳『源氏物語』戻し訳』(第13回)横書版■
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