小松剛生さんの連載ショートショート小説『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『NO.038 銀河鉄道ではありません』をアップしましたぁ。宮沢賢治『銀河鉄道の夜』を微妙な形で下敷きにしたショートショートです。意識してそうしているわけではないでしょうが、小松作品は先行テキスト(プレテキスト)がけっこう多いです。ただ二次創作とは違います。本質的には作家の世界認識そのものがパッチワークなのです。
石川は過剰に作家の唯一無二のオリジナリティを喧伝し、作家にはあたかも特権的知性や感受性があるかのように振る舞う詩人や小説家を信用しません。むしろそういう人は完全に〝現代をつかみ損ねた〟過去の作家だと思います。作家が過去作品にインスパイアされて創作するのは今に始まったことではありません。またある種の職人のように、作家が特殊な修辞に長け、文学に関して勘を働かせるのも職能として当然のことです。ただ昔のようにその〝内実〟をブラックボックスにして隠せない。ほぼすべてのメカニズムが露わになっている。こういう時代には手の内をさらして新たな文学を創造するのが正しいと思います。〝想像力は死んだ、創造せよ〟です。
文学金魚では小松さん以外にも、新人作家では青山YURI子さんが〝パッチワークの世界〟を創造しておられます。また小原眞紀子さんや鶴山裕司さんも引用による詩をだいぶ前から書いておられる。もちろんそれは〝文学手法〟の問題ではなく、本質的には世界認識が変わったことを示す文学の変化でなければ意味がありません。小手先で真似してもムダです。
文学者が本当に常人にはない能力を持っているなら、文学なぞ書かず地震の予知でもして世の中にうんと貢献したらいい。しかし文学者の仕事は狐憑きになることではありません。どんな形かは出たとこ勝負ですが、現代を言語作品として的確に表現するのが文学者の仕事です。
■ 小松剛生 連載ショートショート小説 『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『NO.038 銀河鉄道ではありません』 縦書版 ■
■ 小松剛生 連載ショートショート小説 『僕が詩人になれない108の理由あるいは僕が東京ヤクルトスワローズファンになったわけ』『NO.038 銀河鉄道ではありません』 横書版 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■