岡野隆さんの『詩誌時評・句誌』『No.074 月刊俳句界 2017年02月号』をアップしましたぁ。特集『俳人必携 未来に残す俳句論』を取り上げておられます。岡野さんは『一般読者にとって、俳句はあくまで〝文学〟である。小説、短歌、自由詩と並列される同格の文学だということである。つまり狭い○○壇内部での評価を超えて、文学として同時代や後世に影響を与えた作家や作品をまず俳句文学として捉えている』と前置きした上で、『同時代や後世に影響を与えた俳句文学という点では、子規・虚子の後に来るのは新興俳句系の作家と高柳重信、金子兜太になると思う。彼らの作品や評論は、俳壇を越えて他ジャンルの文学にも影響を与えた』と批評しておられます。
石川も岡野さんの見解に同意です。虚子ホトトギス系の俳風のバリエーションという面では、いくらもそのライン上で優れた俳人を列挙できます。しかしホトトギス系とは質の違う俳句の可能性を表現したのは、新興俳句から兜太・重信といった作家たちでしょうね。ただまあ岡野さんが婉曲に書いておられますが、俳句は本気になればある種の絶望文学でもあります。その絶望の淵から希望を見いだせる作家はそうそう現れない。わたしたちの同時代に、そういった本当に優れた俳人が出現しなくても、それは仕方がないかもしれない。虚子は正しいことを言っているわけですから、それに従順であるのも一つの選択です。
三月の甘納豆のうふふふふ
たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ
多分だが磯巾着は義理堅い
(坪内稔典「自選30句」より
岡野さんは坪内稔典さんの俳句を取り上げて、『初めて作品を読んだ方は、ユーモア系の俳人だとお思いになるだろう。しかし坪内さんは骨太な俳人だ。e.e.カミングスの剣呑に通じるような、あるいは金子光晴的な〝後ろ向きのオットセイ〟を感じさせる強い意志がある』と批評しておられます。坪内さんの俳句、一瞬で記憶できますね。いい俳人なのです。
■ 岡野隆 詩誌時評『句誌』『No.074 月刊俳句界 2017年02月号』 ■
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