第2回 辻原登奨励小説賞受賞作家・寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『松の牢』(第04回)をアップしましたぁ。ん~寅間さんにしか書けない小説かもしれないなぁ。もち大衆作家は寅間さん的な小道具というか、機微をうまく使いますが、寅間小説はきな臭いリアリティがあります。
石川は編集者的な、ちょいと無責任かもしれない高みから小説の世界を見ています。文学金魚を例にすると、当面は小松剛生さんや原里実さん的な書き方が一つの流れになるでしょうね。もう一つの流れは寅間さん的な流れです。前者は村上春樹さんから続く、現代社会のアトモスフィアを感性的に捉えた小説の書き方です。後者はリアリズムということになりますが、純文学的な抽象性を廃したリアリズムです。
もち後者(寅間さんタイプ)は大衆文学に近い。文章としては似るでしょうね。だけんど残酷さのレベルが大衆文学とは違う。その金脈的なものに行き当たれば、現代文学として一つの力を持ち得ると思います。パッと読んだときの新し味は薄いですが、ブルドーザーのようにゴリゴリ押してゆくような小説です。寅間さんはそんな小説が書けるでしょうね。
いずれにせよ従来的な純文学の書き方、つまり現実を内面化して抽象化するような書き方では、読者を魅了できなくなると思います。剥き出しに近いリアリズムか、それとは一見正反対のようですが、希薄で浮世離れしていて、だけど今までとは違う形で現実に食い込んでくるような書き方。オーソドックスな純文学的文体は、その中間にくすんで見えるようになる気がしますぅ。
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
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