Interview of gold fishes 第13回『ほぼありのままの荒木経惟(上編)』をアップしましたぁ。日本を代表する世界的写真家、荒木経惟さんのインタビューです。〝アラーキー〟あるいは〝天才アラーキー〟という通称は、一種の自己プロモーションとして、荒木さんご自身が一九七〇年代頃にお付けになったものです。気さくなお人柄なので、昔から荒木さんをご存知の皆さんにとっては荒木さんはいまだにアラーキーです。しかし不肖・石川を含む年少者は「荒木経惟」あるいは「荒木先生」でいいでしょうね。荒木さんは尋常な写真家・創作者ではありません。天才アラーキーという通称はどこか人を食った冗談めいた響きがありますが、もしかして本当に天才かもしれないのが荒木さんの困ったところでふ(爆)。しかしわたしたちは荒木さんが、たゆまぬ努力の人であることも知っています。
インタビューでも話に出ましたが、写真を巡る現代の状況は確実に荒木経惟の仕事の延長線上にあります。誰もが写真を撮りそれをアルバムのように所持する時代になった。特定の技術を習得した人がプロカメラマンと呼ばれていた時代に、荒木さんはいち早くオートフォーカスのコンパクトカメラを使い始めました。日付が入れられるようになるとそれも真っ先に取り入れた。そして次々に写真集にまとめてゆかれた。荒木さんの写真集は恐らく600冊近くあり、現在も刊行され続けています。これだけの量の写真を撮り、またそれが写真集として出版され続ける――つまり写真界を含む文化界でその仕事が高く評価され、また読者から強い支持を受け続けている写真家は荒木さんしかいないのです。自分の名前が真ん中に印刷された写真集を、当たり前のように出版し続けているのは荒木さんだけです。
文学金魚では各界を代表する作家の皆さんにインタビューをさせていただいています。皆さんご自分の表現フィールドで戦い、高い実績を残してこられた方々です。ただちょっと奇妙な言い方になりますが、文学金魚がそのコンセプトに即して最も金魚的だと感じる作家は荒木さんかもしれません。荒木さんは写真家ですがエセーや小説を書き、ビデオを撮り、オブジェを作り絵もお描きになります。写真が表現の基盤ですが彼はボーダーレスな創作者です。世間に背を向けた変わり者ではなくむしろコマーシャルな誘いにホイホイ乗る方ですが、その根底には反逆がある。既成の型(ジャンル)や権威にはまりそうになると、迷いもなく自らそれを打ち毀してゆかれる。自由であること、しかし決して社会(世界)に背を向けないことは文学金魚の根本方針です。荒木さんのインタビューはあと2回掲載します。
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