日本が誇る世界的特殊作家、三浦俊彦さんの連載小説『偏態パズル』(第46回)をアップしましたぁ。今回は桑田庸介と仲出芳明さん(二人はお互いに唯一の友人です)の、小学生時代のおろち体験が披露されています。桑田さんは男性教師にまつわる、仲出さんは女性教師(アメリカ人語学教師)にまつわるおろち体験でありまふ。三浦センセのおろち学は性差を超え、人種の垣根も越えてしまふのですなぁ。すごいですぅ(爆)。
『偏態パズル』を長い間読んでいると、なーんとなくわかってくるのですが、三浦センセはおろちにおいて人間存在を一元化して捉えておられます。簡単に申しますと、おろちの前では人類皆平等なのでありまふ。こりは布教に値する信念(信仰?)でありまして、金妙塾が学術集団であり、かつ宗教集団の気配を感じさせるのも納得できることであります。
しかし事はそう簡単には運ばないわけです。おろち的人間平等存在論だけですべてが割り切れるわけではなく、実際にはその上に、社会学的おろち現象論が加わるんですな。いわゆるジェンダーであります。これが現実世界における様々なおろち現象(スキャンダルを含む)を引き起こすわけですが、それを蒐集し記録するのも金妙塾の役割であります。だけんど印南哲治さんや袖村茂明さんという主要登場人物は、フォークロア蒐集的な金妙塾とは距離を取って、よりラディカルに独自の現象学的統合を果たそうと格闘するのであります。SとMの同時発現などは、その涙ぐましい努力なのでありまふ。
この哲学と現象学両方にわたる格闘が、どのやうな結果を見せるのか、不肖・石川、まぢで楽しみであります。ただま、今回素に戻った英語女教師、グロリアさんが、『日本喋れんじゃねーかと。しかもすげー自然な喋りじゃねーかと。ほんの二言三言でしたが、ほんとは日本語ペラペラなのがバレバレでした』といふのはどんなパズルにつながるんでしょ。おろち学は人間の本質もあばく学問なのでしたぁ。
■ 三浦俊彦 連載小説 『偏態パズル』(第46回) pdf版 ■
■ 三浦俊彦 連載小説 『偏態パズル』(第46回) テキスト版 ■