山本俊則さんの美術展時評『No.056 原田直次郎展 西洋画は益々奨励すべし(後編)』をアップしましたぁ。山本さんは東博で開催された黒田清輝展についても書いておられますが、黒田展と原田展はセットのやうなところがあります。彼らはほぼ同い年で、同時期にヨーロッパに留学しています。私費留学というもの同じですが、黒田はフランス、原田はドイツ留学でした。どちらの画風も後の日本の洋画に多大な影響を与えたわけです。

 

 よく知られているように、黒田清輝の印象派風の明るい画風は「外光派」(紫派、新派)と呼ばれ、高橋由一や直次郎らの画風は「脂派」(旧派)と呼ばれ蔑まれるようになった。しかしそれは一面的な捉え方に過ぎない。確かに由一や直次郎の作品には暗い背景のものが多いが、それは人や物の本質を捉えようと対象にフォーカスしているからである。このような本質重視のリアリズム絵画は岸田劉生らにも受け継がれている。岸田の絵の多くも暗い。外光派(新派)がその後の洋画を担ったわけではなく、脂派(旧派)と呼ばれた絵画手法との綜合の内に日本の洋画は発展している。

 黒田は師コランの教えに忠実に、思い切って印象派の画風を取り入れなかった。だが外光派は印象派の先駆けだった。印象派を嚆矢として、日本美術(主に洋画)は現在に至るまで、欧米の最新絵画動向を貪欲に取り入れ続けている。それは前衛美術として日本美術を様々に活性化してきた。しかし日本の洋画の骨格は脂派的な本質リアリズム絵画にある。

(山本俊則)

 

山本さんはまた、『ニューヨーク中心の世界的前衛アート市場を中心に考えれば、世界標準として通用する日本の画家たちは、欧米的前衛美術を積極的に取り入れた作家たちである。しかし熊谷守一を始めとして、日本国内で高く評価されている画家たちの作品は質的に違う。それは具象抽象絵画であり、リアリズムとは人や物の本質を捉える絵画だと直観した直次郎らの仕事の延長線上にある』とも書いておられます。

 

確かに日本の洋画から高橋由一、原田直次郎、岸田劉生、青木繁、熊谷守一(青木と熊谷は藝大の同級生でした)らの系譜を除くと、うんと寂しくなってしまひますね。彼らは日本的洋画の系譜です。もちろん外光派は梅原龍三郎という巨匠を生んだわけですが、彼はルノアールの愛弟子です。

 

 

山本俊則 美術展時評『No.056 原田直次郎展 西洋画は益々奨励すべし(後編)』 ■

 

 

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