遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第41回)をアップしましたぁ。いよいよ〝犯人〟が明らかになりました。「文字のなかだけでの殺人。物語のリアルにはふれない、文字の塊のレベルでの殺人ってこと?」とあるように、漱石『三四郎』の中で秘かに起こった殺人事件です。この殺人事件はもちろん遠藤さんによるフィクションです。ただ『『三四郎』殺人事件―』はこの作品が書かれた時代背景と作家・漱石による小説の無意識を読み解くことでもあります。
恭助を中心とするネットワークと、三四郎を中心とするネットワークというのは、単なる二つの中心ということではなかったということ。作品の根幹的なテーマと密接に絡み合う、地理的、権力的、階級的、性的、さらには人種的な関係性の対比であったということなのだ。三四郎が、三と四との間に分裂していた理由も、この二つのネットワークの狭間で揺れていたという「迷羊」性とつながっていると俺は思う
遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』
『三四郎』がヒロイン美禰子が口にした「迷羊」が一つのテーマになっていることはよく知られています。そのせめぎ合いと歪みが殺人事件を生む。小説家で文明批評家でもある作家ならではの作品です。
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第41回)縦書版■
■遠藤徹 連載小説『虚構探偵―『三四郎』殺人事件―』(第41回)横書版■
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