りょんさんのときどき集中連載『世相をわらう40―創作者はサラリーマンに殺される(最終回)』をアップしましたぁ。マンガ家・芦原妃名子さん作の『セクシー田中さん』のドラマ化にまつわるゴタゴタと、芦原さん自殺事件について取り上げておられます。芦原さんのご冥福をお祈りします、と書いてもなんだか空しいですね。
りょんさんは『声を上げるにも立場によって、かなりの勇気を奮い起こさなきゃならないんだ。だからこそこういう問題が起きてる、という構造が徐々に明らかになってきた』『芦原さんを追い詰めたのは個人ではなくて、組織の力だということになるよね』と書いておられます。恐らくその通りだと思います。
マンガ本を売りたい出版社にとって、テレビドラマ化は魅力です。でも『セクシー田中さん』は連載途中だった。マンガ家は出版社の意向も重々分かっているから原作通りにという注文を付けてドラマ化がスタートした。しかし結末が決まっていないのだから〝原作通りに〟は限界がある。すったもんだの末にマンガ家が終わりの2話の脚本を手がけることになった。当然、原作とは別の〝作品〟として脚本を書いた脚本家は面白くない。でもそれはいわゆる創作者同士の話し。制作元の組織は何をしていたのか。テレビ局はSNSで脚本家に「いいね」して暗に自分たちの立場を示した。マンガ家を守ってくれるはずの出版社は傍観していた。まあそういうことになるでしょうね。
組織が個を守ってくれるのは確かなことです。大組織になればなるほどその力は絶大です。「そんなのダメ」と言うのは簡単ですが、追いつめられる個の側になれば誰もが組織を頼る。それが人間というもの。ただそういう仕組みが厳然と社会にあることは強く認識しておいた方がいいと思います。組織が個を守ってくれるというのは、個が組織深くに属せば責任を逃れられるということです。簡単に言えば組織は責任を取らない。あるいは責任を多方向に逃してうやむやにしてしまう力があります。自民党の裏金問題を見ていればわかりますよね。
創作者もなんらかの組織や団体に属しています。特に版元との関係は重要です。版元は創作者の生殺与奪の権を握っていると言ってもいい。版元には版元の意向があり、創作者にもあります。それを上手く擦り合わせなければどちらかの絶対服従の関係になってしまう。版元をアゴでこき使う売れっ子作家、います。どちらも王様になってはいけない。特に創作者は個ですから、組織の意向を常に慎重に見極める必要があるでしょうね。芦屋さんの自殺、防げたと思います。組織が冷たすぎた。残念です。
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