松原和音さんの新連載小説『学生だった』第01回をアップしましたぁ。『一月のレモネード』に続く松原さんの新連載小説です。2作続けて読むとこの作家の特徴がはっきりわかります。
思春期は誰にとってもムダなようで有意義なものです。男の子は仲間とじゃれ合って過ごすわけですが、そこに酒とかタバコなど、そして性欲前提の女の子への強い関心と多少の暴力が入り混じります。でもま、基本社会性を押しつけられた人間種族ですから(これも現状ではジェンダーですね)常に緊張感がある。学校卒業後、バラバラというのはよくあります。
女の子も似たようなものですが、その関係性や友情はやはり男の子たちとは違う。これは一つの小説的文脈で言うのですが、女の子たちは若い頃は誰もがかわいい。ウルトラ美人でなくてもそう。プリクラやスマホで自分や友だちの写真を撮りまくったりします。それに自覚的であることが女の子から女への過渡期と言えるくらいです(もち例外はあります)。
この女の子の共同体は水のように相互に浸食し合います。決定的対立がない代わりに決定的相互理解も薄かったりする。しかし自分以外の同世代の女の子たちをじっと見つめている。批判意識があるわけでは必ずしもない。しかしそれによって自己の立ち位置のようなものを確認し、男の子たち以前に立ちはだかる女の子の共同体を生き抜いてゆく。
そういった女の子の共同体の観察眼が松原さんは異様に鋭い。これは強い武器になる。石川、21世紀初頭は女性作家の時代だと思いますが、松原さんもそういった作家の一人です。
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