小原眞紀子さんの連載小説『幕間は波のごとく』第19回をアップしましたぁ。金魚屋からミステリー小説『香獣』、『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの連載サスペンス小説です。中年に差しかかった姉妹を主人公集団にしたサスペンス小説です。
『幕間』は源氏香を小道具に使った『香獣』とはまた違うテイストのサスペンス小説です。やはり姉妹が主人公という設定が要因でしょうね。血のつながりというのはいろんな意味で人間を縛ります。困った時に助けてくれるのは肉親近親者ですが、多大な迷惑をかけるのもまた肉親近親者です。そしてたいていの場合、知らないでは済まされない。主人公の楡木子は否応なく妹が持ちこんだトラブルに巻き込まれてゆきます。
そのまとわりつき方は、他者との関わりより遙かに粘着質。現在だけでなく過去も思わぬ瞬間に顔を覗かせる。その分、小説としての深みが出ます。石川は純文学の定義は作家の思想にあると考えていますが、『幕間』は純文学的要素が濃い。ある種私小説的でもあります。自己の心理が最も身近な他者である家族に滲透し、そしてそこで決して交わらない、理解し合うことができない絶対他者に残酷に出会うのですな。
■ 小原眞紀子 連載小説『幕間は波のごとく』第19回 縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連載小説『幕間は波のごとく』第19回 横書版 ■
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