松原和音さんの連載小説『一月のレモネード』第8回をアップしましたぁ。思春期の揺れる人間心理が的確に表現された小説です。ただどこかで強い具体性がある。これが女性作家の小説の特徴でしょうね。男の子作家だともっと抽象的になることが多い。つまりもっとつかみ所がなくなる。
石川、現代は女性作家の時代だろうなと思います。古典中の古典である『源氏物語』論の『文学とセクシュアリティ』を書いた小原眞紀子さんが上田実先生へのインタビューで、「今、戦後文学が完全に終焉してしまったこともあって、文学の世界は勢いがありません。女性作家は『源氏物語』以来、無意識の生命力といった永遠のテーマを持っていますから、まだ秀作を書いている小説家がいるんですが、男性作家の方はとても低調です」と発言しておられます。その通りではないかと思います。
男の子はなんやかんや言って抽象的、観念の動物ですね。それを捉えないと表現が魅力的にならない。しかし現代ではそれが捉えにくい。空虚を書く手はあるんですが、女性作家のように生命力の裏付けがあることは少なく、ホントの空虚になってしまう。文学の世界では当面女高男低の傾向は続くんじゃないかな。
■ 松原和音 連載小説『一月のレモネード』第8回 縦書版 ■
■ 松原和音 連載小説『一月のレモネード』第8回 横書版 ■
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