佐藤知恵子さんの文芸誌時評『大衆文芸誌』『小説すばる 2021年03月号』をアップしましたぁ。集英社さんが刊行しておられる大衆小説誌です。宇佐美まことさんの「愛と見分けがつかない」を取り上げておられます。主人公(たち)を負の焦点にして、その親しい人たちの独白(インタビュー)から構成される小説です。
短編ではスッキリとしたオチが必要です。できれば衝撃的なオチが望ましい。それをどう設定し、そこまでどう具体的に説得力のある形で導いてゆくのかが短編小説の醍醐味になります。テクニックと言ってもいいかな。詰め込み過ぎは禁物。しかし薄く引き延ばすと当然ですが面白味が削がれてしまう。なかなか塩梅がムツカシイ。
また作家には文脈と言いますか、それまでの作品実績を背負ったコンテキストがあります。それを裏切るのも楽しいですが、短編ではコンテキスト通りにまとめるのが一般的だと思います。ただし何度もやっていると飽きられる。コンテキストの中で新たな飛び道具を用意してゆかなければなりません。流行作家になるとそれを月に数本は考えなければなりません。なかなか大変なのであります。
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評『大衆文芸誌』『No.003 宇佐美まこと「愛と見分けがつかない」』(小説すばる 2021年03月号) ■
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