文学金魚ちゃんねる『石川良策、文壇・詩壇を斬る!』『Vol.7 詩人として生き残るには、どうしたらいい!?』をアップしましたぁ。第6回目に続き詩のお話しです。今回は詩人の「現実」と「理念」を前提にして、まず現実のお話しをさせていただきました。要するにお金の話ですね。
たいていの詩人がお金に困っているといふか、稼げないのは周知の通りです。歌人・俳人・自由詩の詩人はすべからく、作品集はたいてい自費出版です。んで出版してみればわかりますが詩書はビックリするくらい売れません。ま、それは仕方のないことでありまして、そのあたりをどうクリアしてゆくのか、そのヒントをお話しました。
詩の創作人口&愛好者人口は、俳句、短歌、自由詩の順に少なくなっていきます。ただ短歌・俳句の場合、やはり作品を書きたい方が多いですから、創作ノウハウのような本が売れ筋になります。また大新聞などで選者をしていますと、いわゆる先生になりますから作品集がちょっと売れたりします。が、基本はノウハウ本しか売れない業界だと言っていいです。
自由詩は創作人口も愛好者人口も少なくて、中原中也や宮沢賢治といったいわゆる古典を除くと現在活動している詩人に注目している読者は恐ろしく少ない。ところが終戦から1980年代初頭くらいまで、自由詩関連の作品集や詩書はけっこう売れていました。これはなぜかと言うと歌人や俳人が参考にしていたところが大きいんですね。現代詩は前衛で学ぶべき点があったのです。
なにを読んでも、もはや自由詩から学ぶべき点がないと見切られたのが1990年代からです。自由詩の詩人たちは気づいていないでしょうが、歌壇・俳壇の中堅・大家の作家たちはしばしば「現代詩には勉強させてもらった。今は見る影もないけどね」と言っています。礼儀として自由詩の詩人の前で言わないだけで、石川はそういう言葉を何度も聞きました。
こういった変化や現状を冷静に見つめ原因を探ることはとても大切です。一番良くないのは現状に流されてしまうことです。ほっておけば歌人・俳人は当たり前のようにノウハウ本を書くようになります。今まで通りのギョーカイの人になってゆく。自由詩の詩人は、自分たちが置かれている危機的状況から目を背け、昔々の現代詩の栄光を信じたままトンチンカンなプライドを持ち続けることになる。しかしそんなものはとっくに消えています。
もっと露骨なことを言えば、創作者は個ですから、自分だけでも今の苦しく閉塞した状況から抜け出したい。石川はそのためのあらゆる努力や足掻きを良いことだと肯定します。しかし人と同じことを考え、同じことをしていたのではダメです。少なくとも自分が関わる創作ジャンルを天から見るように相対化して、その問題点と根源的な力を把握する必要があります。今までと同じこと、人と同じことをしていたのではダメです。参考にしてください。
■ 文学金魚ちゃんねる 『石川良策、文壇・詩ee壇を斬る!』『Vol.7 詩人として生き残るには、どうしたらいい!?』■
■ 金魚屋 BOOK Café ■
■ 金魚屋 BOOK SHOP ■
■ 第9回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第9回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 金魚屋の本 ■