寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『助平(すけべい)ども』『二十九、あれは生き霊』をアップしましたぁ。安藤さんが重要な役割を果たしてゆくようですね。んでもってナオさんが本命彼女として、これもまたさらに物語をややこしくしてゆくような気配です(笑)。男女性差が最大限に活かされています。
男女性差については、石川は小原眞紀子さんの『文学とセクシュアリティ』を基盤に据えています。文学における性差の捉え方は小原さんの考え方が正しいと思います。男も女性性を持っていますし女も男性性を持っている。人間は男性性と女性性の振幅の中で日々生きているわけですが、文学の場合は社会学的なジェンダーをサブ要素にして、この男性性と女性性の振幅を現実の男と女に当てはめてゆくのが一番据わりがいい。
寅間さんの『助平ども』の場合、男性性と女性性ベクトル(テキスト曲線)に男の即物的な性欲が絡んできます。だから『助平ども』です。しかしこの男性的な即物的性欲は常に女性性によって揺さぶられます。つまり主人公は女性的な感受性をも備えている。ただそれが現実の男女に振り分けられていますから、どこかで断絶――物語に必須の事件が起こる。
こういった考察は必ずしも小説家自身がはっきりと認識している必要はありません。かといって男女モノを書く以上、まったく無意識でいるわけにもいかない。論理的に把握していなくても、直観として男女の役割分担というか、振り分けを考えていなければ優れた小説は書けない。『助平ども』の主人公は女性的な感受性を持ち、かつ最終的には女性性を拒絶する、あるいはそこから疎外される強い男性性を持っているからモテモテなわけです。
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『二十九、あれは生き霊』縦書版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『二十九、あれは生き霊』横書版 ■
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