小原眞紀子さんの連載エセー『詩人のための投資術』『第二十回 グローバリズムII―神のいる山嶺』をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ――現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの経済エッセイです。今回は経済だけでなく、文学にも通じる内容ですね。
できるだけ広い、大きな視野を得たい、という人間の欲望は、少しでも神に近づきたいという願いと同質である。「正しさ」は直接は測れない。しかし視野の広さや大きさは、客観的に測ることが可能だ。そして「正しさ」はかなりの程度、視野の広さと大きさに担保される。視野の狭い者が下す判断は、より広い視野を持った者から見たら、ほとんど当てずっぽうだ。そして判断基準を持たないとき、人はたいていその判断を自身のエゴにゆだねる。損得とか、好き嫌いとか。世界全体からすればちっぽけなもので、なおかつたいてい満たされない。
(小原眞紀子連載エセー『詩人のための投資術』)
論理的な正誤と直観的真理が異なるものであるのは言うまでもありません。俯瞰的な視野を得たいという人間の欲望は、直観的真理を把握したいという理想でもあるでしょうね。直観真理の場合、論理的整合性は問題にならない。文学作品がまさにそうですが、矛盾していようと混乱していようと直観真理は人を納得させ惹き付けるのです。
小原さんは『「豊かさとは金の問題ではなく」、《世界を把握しようとする根源的な欲望の達成》なのである』とも書いておられます。日本の経済的没落が囁かれる昨今ですが、それはその通りだとしても文化はまた違います。文化は陰りが見えた民族・宗教・国家共同体で最も高みに達します。文学者の努力次第ですが、日本はこれから極めて高い文化的成果を生み出すことができる可能性を持っていると思います。
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