遠藤徹さんの連載小説『物語健康法(入門編)』(第04回)をアップしましたぁ。『物語健康法(入門編)』は小説の力、物語の力というものを考える上でとても重要な作品です。
今日本はもちろん世界中で新型コロナウイルスが猛威をふるっています。戦争や大震災でも同じですが、人々の生命財産が脅かされるような社会状況になると、文化など吹き飛びます。文学や絵画などの芸術だけではありません。演劇やスポーツなども、それどころじゃないと休止になってしまう。つまり文化とは豊かな社会の上澄みであり、吹けば吹き飛ぶような脆いものだということです。
ただ文化は本当に脆いのかというと、そうとも言えない。人々はどんな状況になっても楽しみを見つけます。苦しく辛い状況でも歌を歌い、ゲームをし、時には寸劇などを上演して楽しみを見つける。それが文化の発生というものであり、文化は人間存在の発生と同時に存在した強いものだとも言えます。それが拡大再生産されたものが、豊かで平和な社会の文化隆盛期になって歴史に刻まれます。
ただ人間が追いつめられた状況になると、『文化とはなにか?』を根本的に考える必要が生じます。文化は本来的には必ずしも人間のエゴの発露ではありません。僕が、わたしがを主張するための手段やツールではないということです。人々を楽しませるのか、怖がらせるのか、怒らせるのか、あるいは退屈させるのかは問いません。芸術家が文化を創り出すということに、それは社会にとって必ず意味があると信じられなければ、苦しい時代に創作活動は行えないということです。
遠藤徹さんの『物語健康法(入門編)』は無私の物語創作についての小説です。小説家や物語作家としての成功を目指すストーリーではなく、物語の根本的な力を描いた小説です。これから大衆小説などでは人類とウイルスの戦いといった物語がたくさん書かれるでしょうが、文学金魚が今のような時代に必要だと考えるのは、原理的な文化の力を感じ取れるような作品です。
■ 遠藤徹 連載小説『物語健康法(入門編)』(第04回)縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『物語健康法(入門編)』(第04回)横書版 ■
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