大篠夏彦さんの文芸誌時評『文芸5誌』『文學界 2018年11月、12月、2019年01月号』をアップしましたぁ。木村紅美さん「わたしの拾った男」、砂川文次さん「戦場のレビヤタン」、山崎ナオコーラさん「最後のストロー」を取り上げておられます。
大篠さんは『現代的問題は膨大な〝情報〟に取り巻かれている。ある立場を取れば別の立場に立つ人から批判を受け、その批判には必ずある程度の正しさがある。「わからない、何が正しく、どこに進むべきなのかわからない」。現代社会の精神をリードすべき敏感なアンテナ文化である純文学が、「わからない」と繰り返している』と批評しておられます。まったくもって難しい時代になったものです。
当たり前ですが純文学小説は書こうと思わなければ書けないわけで、単純に言って純文学作家は『単に売れるだけの小説は書きたくない』と思っているはずです。じゃ、売れるという以上の価値は何かということになりますね。大仰に言えば文学史に残るような傑作ということになると思いますが、もそっと具体的に言うと、現代社会を的確に捉えた作品になると思います。しかしこの現代がとっても捉えにくい。
この捉えにくい現代社会をなんとか捉えようと、政治家から一般人に至るまで右往左往して様々に思考を巡らしています。文学者もその中に入ります。じゃ、文学者は一般人なのか。伝統工芸職人と同じで、小説などを書くのが上手い職人なのか、ということになりますね。もちろん違う。というか違うと胸を張って答えたい。しかしそれがなかなか難しいのが現代です。
「何が正しく、どこに進むべきなのかわからない」現代社会では、文学の評価基準も揺らいでいます。とりあえず売れる本がいい本だということにせざるを得ないわけですが、それを心底信じている人は少ない。このモヤモヤとした現状、なんとか抜け出さなければなりませんね。
■ No.133 大篠夏彦文芸誌時評-木村紅美「わたしの拾った男」(文學界 2018年11月号)■
■ No.134 大篠夏彦文芸誌時評-砂川文次「戦場のレビヤタン」(文學界 2018年12月号)■
■ No.135 大篠夏彦文芸誌時評-山崎ナオコーラ「最後のストロー」(文學界 2019年01月号)■
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