鶴山裕司さんの連載長篇詩『聖遠耳 Sei Onji』No.004をアップしましたぁ。金魚屋から『日本近代文学の言語像Ⅱ 夏目漱石論-現代文学の創出』を好評発売中の、鶴山裕司さんの長篇詩2,187行です。鶴山さんの詩集『国書』は散文詩だったので散文詩が得意なのかと思っていましたが、行切りも上手いですねぇ。
「創造力は死んだ 創造せよ」
僕らがいるのはそんな世界だ
ヴァーチャルがリアリティを持てば持つほど
人はアンリアルなリアリティを求めて精神
の暗がりへと遡行する
そこでは鉄の鍋が火に
かけられているグツグツ
と煮立っている「何を煮て
いるのかね?」
「口では決して言えないものを」――シェイクスピア『マクベス』
(鶴山裕司『聖遠耳』)
引用の方法も含めてvery鶴山といった詩行です。処女詩集『東方の書』から次の『国書』も引用の宝庫でした。その理由を鶴山さんは、〝個の限られた世界に多様な世界そのものを取り入れるための方法〟と説明していました。「創造力は死んだ 創造せよ」というのは鶴山さんの現代文学に対する根本認識ですね。そしてそこから抜け出すための方法が、「ヴァーチャルがリアリティを持てば持つほど/人はアンリアルなリアリティを求めて精神/の暗がりへと遡行する」ということになるでしょうか。
文学金魚を始める際に石川は鶴山さんから自由詩のレクチャーを受けました。〝詩は思想的にも形式的にもまったく制約のない自由詩である〟という定義から始まる明快なレクチャーでした。四方山話で自由詩の行切りについて聞いたことがあるのですが、〝行切りは詩的アトモスフィア(雰囲気)を喚起できる技術だが、作品が詩であることを保証する決定的要素ではない〟という答えでした。
で、石川は日本で一番行切りが上手い詩人は誰ですか?と質問したのですが、鶴山さんは「飯島耕一」と即答されました。飯島耕一をちゃんと読めば行切りの呼吸が体得できるそうです。プロだなぁ。作家は他者の作品を読み込み、影響を受け、細かな技術を積み上げてその思想を的確に表現しているのです。
■ 鶴山裕司 連載長篇詩『聖遠耳 Sei Onji』(No.004)縦書版 ■
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