寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『助平(すけべい)ども』『十九、スリーアウト』をアップしましたぁ。真綿で首を絞められるように、じわじわと主人公が追いつめられてゆくような展開ですね。
『助平(すけべい)ども』は一人称一視点小説で主人公は「俺」ですから、杓子定規に言うと私小説のフレームです。ただし作家の実体験がそのまま書かれているわけではなく、かなりフィクションが混じっている拡大私小説タイプの作品と言えると思います。寅間さんの場合、私小説を基盤に内容は三人称一視点小説的で、エンタメ要素をも取り込んでいるところが大きな特徴です。
しかしまあ、小説の内容がまったくのフィクションだとすると、面白味が半減してしまう感が生じるのは否めない。手練れの小説家はそのあたりも意識して、フィクションと実体験の中間だとぼやかすことが多い。『助平(すけべい)ども』もそうでしょうね。
「私」「僕」と書き出してしまった小説には、どこかで強く作家の影が出ていなければなりません。これは小説では必須と言っていいルールです。ただしどこで作家が出ているのかは任意です。すんごい反社会的言動にそれが出ていてもいいし、ぜんぜん違う箇所に出ていてもいい。作家の生の刻印が強く刻まれていれば、作家が設定したフィクションもリアルに感じられてしまうものです。
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『十九、スリーアウト』縦書版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『十九、スリーアウト』横書版 ■
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