小原眞紀子さんの連作詩篇『Currency』『月』(第11回)をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ-現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の、小原さんの新作詩篇です。お読みになればわかるように『月』は彼岸のことであり、小原さんが現世を相対化して捉えていることがわかります。〝詩〟と〝詩的〟の違いがこのあたりにあるでしょうね。
詩は原理的に自由詩ですが、なぜ自由に書いた言葉の連なりが詩になるのかはとても重要な問いかけです。またそれについて一定の答えを得ることができれば、詩人は他ジャンルにも打って出ることができるようになります。小原さんが正にそうです。
最初の金曜は
満月か
三日月か
見上げて占う
人々の暮らしを
川の水位を
魚が跳ねて
素早い者がつかむ
また水面に落ちるのを
静かな者が眺める
深くもぐって
岩の面を食み
少し浮かんで
またもぐり
苔を三度つついて
水面を流れゆく
月の光に染まり
金の像となる
さかしまの世界
(小原眞紀子『月』)
小原さんの『文学とセクシュアリティ』は源氏物語論であり古典&現代小説論ですが、そのテキスト曲線を援用すれば、詩と小説のジャンル論でもあります。小原さんの世界の相対化は当然のことながら文学ジャンルの相対化に繋がっており、それが彼女のジャンル越境的創作活動を可能にしているのです。
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『月』(第11回)縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇『Currency』『月』(第11回)横書版 ■
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