小原眞紀子さんの連載エセー『詩人のための投資術』『第七回 不動産――様々なる大家 Ⅱ』をアップしましたぁ。金魚屋から『文学とセクシュアリティ――現代に読む『源氏物語』』を好評発売中の小原さんの経済エッセイです。『文学とセクシュアリティ』は金魚屋的総合文学論で、短歌、俳句、自由詩、小説などの文学ジャンルを超えるための実践的方法論でもあります。こういったボーダーを意識しながらそれを超えてみせる姿勢は小原さんの活動全体で一貫しているようです。
文学者の多くはお金に無頓着で、かつたいていお金に苦しめられています。ま、詩人さんたちの中には意外とお金持ちの子弟が多くて苦労知らずの方もいらっしゃいますが、たいていの物書きさんはお金を軽視してそれに苦しめられる。この現世的苦悩を抜けるにはどうしたらいいか。大局的な言い方になりますが、お金問題を相対化することです。もちろんそれには実践が伴わなければなりません。画に描いた餅では実ビジネスは成り立ちません。
小原さんは『投資のプロとアマチュアの違いとは、対象への執着を断てるかどうかに尽きるのではないか。(中略)実際には、対象に執着することの方が多くのストレスを生み、結局は誰にも利益をもたらさない。プロとはそれを知って執心を断ち、透明な計算へとシフトさせる術を持つ人を言うのではないか』と書いておられます。これは文学についても当てはまりますね。
文学の世界をどこまでいわゆる〝世界〟として捉えるのかは大きな問題です。たいていの文学者は自分の表現ジャンルを世界と捉え、そこでの評価や毀誉褒貶に一喜一憂します。それは現実バランスを養うために必要なことですが、それだけではないのは当然のことです。文学全体を相対化して捉えれば違う認識地平が見えてきます。『執心を断ち、透明な計算へとシフトさせる術を持つ』わけです。金魚屋的総合文学はそういった理念に近いです。
■ 小原眞紀子 連載エセー『詩人のための投資術』『第七回 不動産――様々なる大家 Ⅱ』 ■
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■ 第6、7回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
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