ドイナ・チェルニカ著、ラモーナ・ツァラヌ訳、No.018『少女と銀狐』第27章をアップしました。『第27章 ゴン・ドラゴンはいろいろ知りたがる』です。思想的に中心に近づきつつある章ですね。
石川はよく思想という言葉を使いますが、なにも難しいことを言っているわけではなく、作家が作品で『何を描きたいのか』を思想と総称しています。昔、荒川洋治という詩人が、確か『書くこともないのに詩を書いたり』という詩を書いていました(笑)。ここまではっきり書くと、作家には思想があると言えます。二回は通用しませんが。
ただ一番問題なのは、マジ書くことがないのに作品を書いてしまうことです。ある程度のキャリアのある詩人や小説家でも、途中で思想を失うことはままあります。そうするとテクニックはあるので形骸化した作品を書いてしまう。新人作家のほとんどが、書きたいこと、つまり自分の思想をはっきりつかんでいないのは、さらによくあることです。100枚書くつもりで書いてみたら、10枚くらいで尽きてしまったというのは、創作初心者にはよくあることです。思想は探究し、育まなければ確固たるものになりません。
もちろん前衛作品のように、書き方で思想を表現する方法もあります。その場合は新しい世界に作家の新しい書き方が対応している必要があります。単に奇をてらった書き方は、その場限りのものとして消え去ってしまうのです。世界が変わったから書き方も変わる、という前衛が望ましい。いずれにせよ、思想がなければ作品は弱いものになります。
■ ドイナ・チェルニカ著 ラモーナ・ツァラヌ訳『少女と銀狐』第27章 縦書版 ■
■ ドイナ・チェルニカ著 ラモーナ・ツァラヌ訳『少女と銀狐』第27章 横書版 ■
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