遠藤徹さんの連載小説『ムネモシュネの地図』『第15回 (六)象の背中(フェスティナ・レンテ)(一)』をアップしましたぁ。『ムネモシュネの地図』は石川には大受けの小説です。ラノベ形式で書かれていますが、この作品は大人向けでしょうね。
ペダンティズム=衒学趣味という言葉があります。豊富な知識を持った人を指す言葉ですが、ペダンティストとなると、人があまり知らない知識をひけらかし、問題の本質を曖昧にしてしまう詭弁家のニュアンスも生じます。もちろん種山先生はペダンティストではありません。
ペダンティズムにあまり良いイメージがないのは、いくら豊富な知識を持っていても、それが有機的に結びついていなければムダだからです。人文学のジャンルでは、たいていの情報は単体では価値がありません。複数の情報が有機的に結びついて新たな発見が生じる場合にのみ、情報収集者、つまりペダンティストは知識人と呼ばれる資格を持つわけです。種山先生は情報の使い方を知っている知識人です。
たいていのジャンルで、ほとんどの人が同じ情報を与えられます。もしくは情報収集すれば、同じ情報が公平に取得できる世の中になっています。しかし扱い方が違えば導き出される認識が大きく違ってくる。これはある意味現代的な知の状況でしょうね。一昔前の知識人は情報の囲い込みによってインテリになれた面がありますが、現代ではそれはもう不可能です。
『ムネモシュネの地図』は一種のエッセイ小説でもあります。事件は起こりますが、遠藤さんはエッセイ的な書き方を意識的に採用しておられる。そしてエッセイは、社会的にも感性的にも成熟した大人でなければ面白い作品を書けないジャンルです。360度グルリと眺めて自己を相対化(客体化)できなければ、何も起こらない日常を描いた文章で他人を楽しませられないのです。『ムネモシュネの地図』はエセイズム・ラノベ小説でもあります。
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第15回 (六)象の背中(フェスティナ・レンテ)(一)』縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第15回 (六)象の背中(フェスティナ・レンテ)(一)』横書版 ■
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