寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『助平(すけべい)ども』『十、失踪スタート』をアップしましたぁ。『ああ、これはいい』と感じる回です。このくらいのレベルで書き続けられれば相当な所まで行けます。寅間さんの作家としての力量を感じられる回です。
読者は残酷で優しい。残酷というのは、読者は作家に『それでそれで』と際限もなく〝次〟を要求するからです。読者は主人公が堕ち始めたらどん底まで堕ちるのが見たい(読みたい)。それが安全な部屋にいて寛いで本を読みながら、読者が作品に期待する波乱です。そして読者は今まで見たことのない世界を見せてくれた作家を愛します。倫理や道徳とは関係ない。殺人犯が主人公でその心理を描いた小説であろうと、読者は主人公と作家を愛することができるのです。
40歳オーバーの作家のデビューが不利なのは当たり前です。50歳オーバーならもっと厳しい。正社員でもアルバイトでも、社会はフレッシュな若者を採りたがるのと同じです。ある程度の年になってデビューして打って出ようとするなら、かなりの力量がなければ扉は開かないのは当然のことです。
そんなの不公平だ、人それぞれ成熟する時期はあるとお考えの方もいらっしゃるでしょうね。その通り。人それぞれ成熟の時期は違います。それと同時に世の中が若者に甘く、中年になった人間に厳しいのも当たり前。不公平でも理不尽でも世の中そんなもの。それがわかっていない中年新人作家を編集者も版元も相手にしません。高い社会性--社会の仕組みをわかっていること--がなければそもそも優れた小説は書けない。ハードルはどこにだってあるのです。
また最後のところ、文学作品には作家の全人生が反映されます。思考であろうと体験であろうと出る。はっきり書かなければ人には伝わりません。書き尽くさなければ人を感動させたり驚かせたりすることはできません。すべてが試されるのです。
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『十、失踪スタート』縦書版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『十、失踪スタート』横書版 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■