遠藤徹さんの連載小説『ムネモシュネの地図』『第11回 (四)象の耳(プライベート・プレーン)(上編)』をアップしましたぁ。今回からタイ旅行というか、タイ現地捜査編です。ただすんなり話が進まないのが『ムネモシュネの地図』の魅力です。ひこーきに乗ってタイに向かうまでの話が続くのです。
小説にはさまざまなタイプがあります。『ムネモシュネの地図』はラノベ風に書かれていますが単純なラノベではありません。ほとんどのラノベは筋書き小説です。小説時空間の説明はありますが、次々に事件を起こしてストーリー展開を楽しむ物語です。しかし『ムネモシュネの地図』は違います。ストーリーはズルリと動く。
ストーリーに主眼を置く物語は読んでいる最中は面白いのですが、読み終えてしばらくすると内容を忘れてしまう。キャラくらいしか頭に残らないんですね。二次創作向きとは言えますが、三次創作でも四次創作でも似たような物語が出来上がるだけです。文学の世界でラノベがあまり高く評価されない理由ですね。
じゃあ純文学はどうか。日本の純文学はたいてい私小説ですが、私小説はぜんぜん物語(ストーリー)が動かない。苦悩を中心とした心理描写が多いので、なんだか崇高な文学だと思われていますが、こちらはこちらでステレオタイプ化しています。石川は心理描写中心の私小説だからといって、無条件にいわゆる〝格の高い文学〟とみなすのは問題だと思います。
小説の基本は心理であれ描写であれ、ある一点からズルリと物語が動くのが理想だと思います。その意味で遠藤作品は理想的小説です。ただ遠藤さん、ものすごく器用なんだな。いろんなタイプの作品を簡単に書けてしまう。だから、ちょっと語弊がありますが、エンタメ小説業界からも純文学業界からも外れてしまうようなところがある。しかし文学金魚はこういう作家をこそ高く評価するのですぅ。
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第11回 (四)象の耳(プライベート・プレーン)(上編)』縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第11回 (四)象の耳(プライベート・プレーン)(上編)』横書版 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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