寅間心閑(とらま しんかん)さんの連載小説『助平(すけべい)ども』『七、こびりつき』をアップしましたぁ。今回の小説はどうやら網目状に人間関係と事件が絡まるようです。これをダーッとこんがらがらせて、中心をつまむようにしてある観念ポイントの落としどころをつかむと、それなりに長い物語になると思います。書き尽くした上で、小説平面から抜け出すようなポイントがあるのが理想です。
小説は枚数にかなり正直な表現です。現実の断面を止めるような鮮やかな短編小説(たいていは私小説)なら30枚くらいが適当でしょうね。それなりに書きたいことがある作家は150枚から200枚くらいの作品になちがちです。一つのテーマと一つの事件では、どんなに引っ張っても200枚が限界なんです。300枚になると全然様子が違ってくる。複数の人物が複数の事件を起こしながら物語が進んでいかないとこの枚数にはならない。
小説を書いたことがある方はおわかりでしょうが、小説という表現は意外なほど事件を食ってしまうものです。書き始める前にアレとコレで50枚行くなと思っていても、実際に書くと2、30枚くらいで尽きてしまう。たいていの場合、予想していた枚数の、せいぜい三分の二くらいで書き終えてしまうんぢゃないかと思います。
もちろん長い物語の方がいいと言ってるわけぢゃありません。でも長い物語を書けるのは小説家の基本的な力量です。どこかの時点で長い物語の書き方をつかんでおかないと、作品は量産できない。長い物語を書ければ短い物語を書くのがうんと楽になる。
じゃあどうやって長い物語を書くのか。関係性ですね。あらかじめポイントを設定せず、人間と事件の関係性を平面的に伸ばし、時間的に伸ばしてゆく。計算し過ぎるとこれができない。小説でよく言う登場人物がひとりでに動き始めるというのは、枠を設定してその中で関係性を自由に放ってやるから生じるわけです。
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『七、こびりつき』縦書版 ■
■ 寅間心閑 連載小説『助平(すけべい)ども』『七、こびりつき』横書版 ■
■ 第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第06回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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