遠藤徹さんの連載小説『ムネモシュネの地図』『第08回 (三)象の目(アセンション・プリーズ)(中編)』をアップしましたぁ。種山先生、最初のトリックをあっさり見破りましたね。『さすが』なのですが、そっからあっさり『で、それで?』と続いてゆくのが『ムネモシュネの地図』の醍醐味です。実に楽しそうに書いておられるので、種山先生的なキャラが遠藤さんの一種の理想なのかもしれません。
石川は毎月主な文芸誌をナナメ読みしていますが、ますます文学の評価基準が曖昧になってるなぁと感じます。編集部内で評価基準が存在しない、あるいは評価基準を立てられないので、各々の編集者が自分がいいと思う作品を推しているのでちぐはぐな印象を与えるのだと思います。ただその中でも傾向というものはあり、それは〝無難〟ということ。なんらかの形で過去文学をなぞったパッケージ作品が評価される傾向があります。新人作家を登場させるにしても、文学以外のジャンル、学者や芸能人に頼る傾向が強い。んで一番の問題は、それがあんまり効果を上げていないことです。
この混沌というか試行錯誤状態は、当然ですが新たな才能をもって現代を捉えた作品を書く作家が現れるまで続きます。今の状態からは信じがたいでしょうが、そういう作家は必ず出てきます。ただ若い新人作家にはやっぱり荷が重いでしょうね。感覚で現代を捉えていても根っこの方が弱いからです。過去文学と現代社会の差異を明確に分析・認識できる中堅作家の中から、まず新たな文学が生まれるはずです。それが次代の若手に影響を与えるようになる。文学史はその繰り返しです。またそういう作家は探そうと意志しなければ見つからない。毎日文学に関わりながらぜんぜん突破口を見いだせないのは、やっぱプロパーの編集者の責任でもあるでしょうね。
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第08回 (三)象の目(アセンション・プリーズ)(中編)』縦書版 ■
■ 遠藤徹 連載小説『ムネモシュネの地図』『第08回 (三)象の目(アセンション・プリーズ)(中編)』横書版 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■