大篠夏彦さんの文芸誌時評『文芸5誌』『No.117 壇蜜「はんぶんのユウジと」(文學界 2017年09月号)』をアップしましたぁ。壇蜜さんはタレント活動でお忙しいと思いますが、そうとうな枚数の原稿を毎月書いておられます。文芸誌中心に目を通す石川がそう思うんだから、週刊誌やファッション誌を含めるとかなりの枚数になるでしょうね。まただいぶ長いこと書き続けておられます。物書きとしてもプロです。
作家になりたい、文筆業で食べていきたいという作家の卵は大勢いますが、たいていの場合は純然無垢たる戯言です。世の中の大半の人は1日8時間働いて月数十万円のお給料をもらっています。杓子定規なことを言うと、そのくらい働ける、書ける作家でなければ文筆で食べられる可能性すら生じない。依頼があれば書けると思っているのも、99パーセントは甘い自己評価の買いかぶりです。夢見てないで現実に仕事を作り、依頼がなくても毎日原稿を書ける作家がプロになれる可能性がある。年に100枚くらい書いてたいそうな仕事をしたと錯覚しているようでは埒が明かない。1日4枚書いたって月産100枚は超える。
ただどんな仕事も同じですが、いきなりプロの自力をつけられるわけではない。書いて発表する場が、それもある程度スピーディで発表の確約のあるプラットホームが必要です。石川が原稿を溜め込むのはよくないと言っているのは、それがプロへの道を阻害するからです。またWeb文芸誌が有効だと思うのは、紙枚数のような制限がないからです。まだ未熟だと思う作家ほど、とにかく書いて発表して次の作品に取りかかる方がいいのです。ネタなど尽きたところからが勝負。書けないのは追い詰められ方が甘いんだね。
大篠さんは壇蜜さんの小説の主人公について、『うんと自己評価の低い女性も壇蜜さんの小説にはしばしば登場する。なぜか過剰なまでに底辺の人間だという意識があるから醒めているのだ。自分にも他人にも大きな期待を抱かないので、流されたままで平気だとも言える。そして冷静に周囲を観察して分析しているので驚くほど危機的状況に強い。こういう女性(男性も)はいる』と批評しておられます。的確ですね。壇蜜さん、作家としても金の卵かもしれないなぁ。ちょっと方向性を変えてやればズドンと決まるような気がします。
■ 大篠夏彦 文芸誌時評『文芸5誌』『No.117 壇蜜「はんぶんのユウジと」(文學界 2017年09月号)』 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■