小原眞紀子さんの連作詩篇『『ここから月まで』第26回 線/緑/踏』をアップしましたぁ。小原さんのCool抒情詩第26弾です。
線は涼しく横たわっている
昨日と今日の間に
大通りの真ん中に
買ったばかりのノートにも
当然そこに存在している
たいていは直線として
決意のほどを滲ませるが
あっさりと筋は曲がる
少し熱っぽく
こすられたスプーンのように
やはり横たわっている
(小原眞紀子『線』)
線というテーマが提示されたら、越えることが一つのアポリアになるわけですが、それをカッコよさげなクリシェでまとめてしまわないのが小原さんの特徴です。越えても越えても線はあり、線は引かれてゆく。小原さんの世界認識ですね。
今月は小原さんにインタビュアーをお願いした東大宇宙物理学の吉田直紀先生のインタビューが掲載されています。基本理科系のお話なのですが、吉田先生は宇宙物理学といっても極めて人間的な学問で、無理のある説明や証明は結局のところダメなのだとおっしゃっています。
文学は数学などに比べて自由な発想が許されるジャンルではあります。でもやはり無理のある表現、無理のある批評は長続きしない。詩の世界では〝現代詩〟が明らかに大きな障害ですね。誰もがもう終わった過去の文学潮流(エコール)だと考えているのに、終止符を打てない。
ガリレオが地球が太陽の回りを回ってるんだよと言ってから、天文学では一つのムリが解けてみんな楽になった。そーだよねーと思っていても、言えない社会状況があったわけです。詩は原理的に自由詩で、現代詩はモダニズム詩、シュルレアリスム詩、戦後詩と同様に過去の文学潮流(エコール)の一つと定義すればずいぶん楽になる。ムリがない理論が築けるからです。
■ 小原眞紀子 連作詩篇『『ここから月まで』 第26回 線/緑/踏』縦書版 ■
■ 小原眞紀子 連作詩篇『『ここから月まで』 第26回 線/緑/踏』横書版 ■
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■