高嶋秋穂さんの『歌誌時評』『No.040 大特集「いまこそ空穂」(角川短歌 2017年06月号)』をアップしましたぁ。窪田空穂の大特集です。空穂は大歌人です。現代ではますますその重要性が増しているかもしれません。高嶋さんは『空穂は明治十年(一八七七年)生まれで昭和四十二年(一九六七年)没ですから九十一歳(数え年)の長寿を保ちました。茂吉は空穂より五歳年下ですが七十二歳で没しています。現代的な感覚で長い長い長い晩年を生きしかも創作意欲が衰えなかったのは空穂が初めてだと言っていいでしょうね。はっきりと長寿社会に入った現代では空穂の生き様が参考になります』と書いておられます。
四月七日午後の日広くまぶしかりゆれゆく如くゆれ来る如し
盛りあがり玉なしさける菊の花玉ほぐれては花瓣みだるる
遺稿集『清明の節』に収録された短歌です。高嶋さんは『「ゆれゆく如くゆれ来る如し」という重畳表現やたたみ込むような「あがり」「さける」「ほぐれて」「みだる」は意味的にはもう何も表現する内容がないと言っているようです。にもかかわらず言語的体験として強い印象を与えます。枯れきった大作家の作品です』と批評しておられます。文学は言葉を使った芸でもあることを思い知らされる作品です。
空穂は与謝野鉄幹の『明星』でデビューし、自然主義小説も書いた作家です。代表作は短歌になりましたがその初期に様々な文学的試行錯誤を重ねている。それが空穂文学の奥行きの広さになっている面があります。小林秀雄は『文学は文学者が考えるほど文学的ではない』と言いましたが、短歌にも当てはまるでしょうね。短歌的短歌を書こうとしているだけでは新しい表現は生み出せないのです。
■ 高嶋秋穂 『歌誌時評』『No.040 大特集「いまこそ空穂」(角川短歌 2017年06月号)』 ■
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