連載翻訳小説 e.e.カミングズ著/星隆弘訳 『伽藍』(第12回)をアップしましたぁ。カミングズを含む20世紀初頭のロスト・ジェネレーションは、現代文学――アメリカはもちろん、高度情報化社会に頭から突っ込んでいる日本などの資本主義国家にとっても古典中の古典です。ただ古典は権威指標として崇め奉るためのものではありません。人は同時代、特に自分と同世代の作家はどんなに優れていても天才などと手放しで褒めちぎったりしない。物故作家だから安心して褒めているだけです。古典文学を読むときは、まずその殻を破らなければなりません。できるだけ同時代人の感覚で等身大に評価することです。
なぜ古典を読む必要があるのかと言えば、それは的確に未来のパースペクティブ(見通し)を得るためです。文学は歴史を背負っています。文学者であり作品を世の中に向けて発表する以上、〝自分はこれが好きだからこれでいいんだ〟では済みません。必ず長い文学の歴史に組み込まれるのであり、時間が経てば未来の文学者からも評価を受けることになります。
50年100年先にはもう死んでるんだから未来のことなんてどうでもいい、今評価されてそれなりに楽しければいいと考える文学者もいると思います。いっこうに構いませんが、それは自らの文学者の力量を諦めた者の言うことです。最初に文学を志した時、誰もが漱石や鷗外らの優れた文学者を目標としたはずです。多少文学界で名前が知れたくらいで諦めてはいけません。最後まで初志を貫徹しなければ、目標の五合目にすら届かないと思います。
現在の文学界は、メディアごとに閉じている傾向が非常に強いです。ある一定の価値観、価値基準を共有している文学者の共同体が群居している感じです。もちろん文学金魚もまたあるカラーを持った文学メディアとして見られているのかもしれません。ただ問題はパースペクティブです。文学メディアの中で、どこが未来の文学ヴィジョンを的確につかんでいるのかが、いわゆる〝本物の文学的価値〟ということになります。これについては石川は自信があります。誰の目にもそれがわかるようにして、早く悠々自適の隠遁生活を早く始めたいですぅ(爆)。
■ e.e.カミングズ著/星隆弘訳 連載翻訳小説『伽藍』(第12回)縦書版 ■
■ e.e.カミングズ著/星隆弘訳 連載翻訳小説『伽藍』(第12回)横書版 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■