ドイナ・チェルニカ著、ラモーナ・ツァラヌ訳、No.007 『少女と銀狐』第8、9章をアップしました。『第8章 むらさき色のアリのかみきずがいたむ』『第9章 水のようせいに会ってむかしばなしをする』です。文学金魚の連載小説は、すべて仕上がっている作品を掲載するケースと、一回ごとに原稿をいただくケースがあります。『少女と銀狐』は後者です。
当たり前ですが石川は文学金魚掲載の全作品を読んでおり、そのほかにも文芸誌や詩誌を全部ではないにせよ読んでいます。文学の世界に限ったことではないですが、現代は人々の間に共通関心事項(共通パラダイム)がない時代です。このパラダイムナシという状況が現代を考える場合の基盤になるわけです。
じゃあ今後もパラダイムはないのかというと、そうとも言えない。昔のように多くの人が同テレビ番組を見てヒットソングを聴く時代は来ないと思いますが、なぜパラダイムがないのか(共通項が少ないのか)という問いかけ(あるいは思考)に、解答に近い認識がもたらされる可能性はある。それが一つの世界認識、つまり新たなパラダイムを形作る可能性もあります。そういった次世代のヴィジョンを持つ作家・作品を見出すために、できるだけ視野を広く持って現状の様々な動きをリサーチする必要があるわけです。
半ば必然で半ば偶然なのですが、石川が文学金魚で目立って見えるなぁと感じる作家は、既存文学のセオリーや価値基準からどこか外れています。大げさに言うと石川は外れるのが正しい、今は外れて見えるけど、近い将来、それが新たなパラダイムになると考えています。ただま、『少女と銀狐』もそういった作品の一つかもしれないとは考えてなかったな。
『少女と銀狐』は童話で少年少女向け作品です。訳者のラモーナさんはルーマニアらしい作品と紹介しておられましたが、この作品、かなり奇妙です。大団円はそれなりにファンタジー小説のクリシェでまとめるんでしょうが、今翻訳が進んでいる旅の途中の描写や事件はファンタジー小説のセオリーをかなり外れている。確かにいろいろな意味で面白い作品を翻訳に選んだなぁと思います。
■ ドイナ・チェルニカ著 ラモーナ・ツァラヌ訳 No.007 『少女と銀狐』第8、9章 縦書版 ■
■ ドイナ・チェルニカ著 ラモーナ・ツァラヌ訳 No.007 『少女と銀狐』第8、9章 横書版 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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