山本俊則さんの美術展時評『No.079 『杉戸洋 とんぼ と のりしろ』展』をアップしましたぁ。東京都美術館 ギャラリーA・B・Cで開催された杉戸洋さんのレビューです。一九七〇年愛知県名古屋市生まれ、愛知県立芸術大学美術学部日本画科卒業の画家であり立体作品も手がける総合美術アーチストです。山本さんは『新しい才能は、いつも意外な形で、だが作家の強く深い確信を備えた作品として登場してくるものだ』と絶賛です。
神が真空を嫌うように、空間には杉戸作品が増えてゆく。ただそれは空間を自らの作品(アウラ)で満たしたいという欲望とは違う。杉戸作品の増殖と配置は、たとえるなら茶道のそれに近いと思う。完全に人工的な空間に、人工物を置いて調和を実現する。それは外部の自然と通底するような心地よい空間でなければならない。外部空間が残酷で醜い面を持っているのと同様に、不協和をも内包しなければ完成しない。作家の強い意志によってのみ出現可能な空間だが、その全体像は作家の意志を超えている。杉戸作品の、魅力的だが一点一点は希薄とも言える印象は、部分と全体に関するこの作家独自の世界観から生じている。
山本俊則
山本さんはまた、『常に全体として構想される杉戸作品は、現実には部分として美術館やコレクターの手に渡る。それもまた問題ない。部分は全体のイマージュを秘めているからだ。杉戸作品のほんのわずかな欠片を通して、見る者は、所有者は全体をうかがい知ることができる。杉戸が手を加えれば実に小さな作品にまでも作家の全体像が宿る。その意味で彼は魔法使いだ。こういった魔法使いのアーチストを、僕は杉戸以外にはロベール・クートラスしか知らない』とも書いておられます。大絶賛ですね。じっくりお楽しみください。
■ 山本俊則 美術展時評『No.079 『杉戸洋 とんぼ と のりしろ』展』 ■
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