山本俊則さんの美術展時評『No.074 『アルチンボルド』展』をアップしましたぁ。ジュゼッペ・アルチンボルドはイタリア・ミラノ生まれの画家です。まだイタリア統一前の時代ですね。画家としての腕をかわれ、神聖ローマ帝国のフェルディナント1世やマクシミリアン2世、ルドルフ2世などの宮廷画家として活躍しました。植物や果物、動物や魚などで人物画を描いた作家として有名です。
山本さんは、『代表作を見ると変わり者のようだが、アルチンボルドは正統な宮廷画家である。権謀術策家だったわけではないが宮廷人に必要な用心深さを兼ね備えていた』と書いておられます。また『アルチンボルド作品は、現実を正確に写生した動植物を巧みに組み合わせることで、現実を超えた高次観念を表現している。ローマ時代から続く皇帝の絶対権威に中世的な神秘主義が流れ込み、大航海時代がもたらした新奇に驚き果敢にそれを求め極めようとした実証主義が、奇妙なリアリズムを与えている。ただ神になぞらえられる皇帝の権威が、世界に存在するすべての動植物を統御するという思想は一貫している。その指向は、期せずしてと言うべきだろうが、グロテスクで暗い。しかし皇帝自らそれを喜び、愉楽とした時代があったのである』と批評しておられます。
美術批評はあまりにも学問的になると学者さんとその予備軍しか読まないですし、わかりやすく書こうとしすぎると、子供だましのような批評になりがちです。山本さんの美術批評、70回以上重ねてきて、いいあんばいにこなれてきたように思います。文章も基本はテクニック。何を詰め込むかも大事ですが、何を捨て去るかがさらに重要になる。学者文章は詰め込みすぎで、ポップ美術批評は捨て去り過ぎなのです。美術批評を読む読者は勉強したいという意欲のある大人が大半。山本美術批評、大人ターゲットの美術批評になっていると思いますぅ。
■ 山本俊則 美術展時評『No.074 『アルチンボルド』展』 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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