佐藤知恵子さんの文芸誌時評『大衆文芸誌』『No.113 青山文平「遠縁の女」(オール讀物 2017年01月号)』をアップしましたぁ。石川もオール讀物を含めて大衆小説誌をときどき読みますが、時代小説はすんごい多いですねぇ。それだけ需要があるんだなぁ。んでどれもこれも似たような作品(爆)。取材は一応なさっているんでしょうが、消化されていない場合がほとんど。ただそういったクリシェ時代小説の中で、青山文平さんは異彩を放っています。
青山文平先生はアテクシの大好きな時代小説作家様で、どうして好きなのかなーと考えてみると、本音と建て前、つまり理想と現実のギャップにこだわっておられるからだと思いますの。そのあたりが通り一遍の封建時代の縛りを描く、ほかの時代小説作家様とは違いますわ。江戸を舞台にして社会制度の息苦しさばかりを描いたり、現代小説にすると説得力を持ちにくい現実からの逃走を描く方が、理想と現実のギャップにこだわるよりずっと楽なのよねぇ。
青山先生の「遠縁の女」も素敵な作品でございました。だけど前半と後半で二つに割れているようなお作品でござーますわ。理想と現実といったって一筋縄ではいきませんの。理想は常に現実によって浸食され、現実は常に理想によって導かれている。それが人間の社会というものだわ。その関係を、少なくとも〝とても難しい〟といった形で描いてくださるから、アテクシは青山先生のお作品を愛読しておりますの。
佐藤知恵子
詳細はコンテンツを読んでいただければと思いますが、青山さんの『遠縁の女』が前半と後半で真っ二つに割れているのは、氏が読者をひととき楽しませるという以上のテーマを抱えている作家だからです。頭一つ抜け出る大衆小説作家には必須の要素です。もち大衆作家さんにとっては本が売れ続ける、作家であり続けることがすんごい大きな創作目的になる。だけどそれでも創作者の地力の差は出る。大衆小説の内情がわかれば、レベルが高いから売れっ子というわけでは必ずしもないことがよくわかりますよ(爆)。
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評 『大衆文芸誌』『No.113 青山文平「遠縁の女」(オール讀物 2017年01月号)』 ■
■ 第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第05回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■