岡野隆さんの『詩誌時評・句誌』『No.069 恩田侑布子『夢洗ひ』「冬三日月」(角川俳句 2017年01月号)』をアップしましたぁ。恩田侑布子さんの小特集を取り上げておられます。まーはっきし言って、俳句の世界からははあんまりすんばらしい女流俳人が出ないのであります。
俳句は本質的に男性的文学である。(中略)結社主催の女流俳人の多くは、一種のキャリアウーマンのように、本質的に男系社会である俳壇で、男に立ち交じって力強く活動している。もちろん女性性は失われることはない。しかしそれを俳句で表現することは意外と難しい。男女を問わず、俳句で恋やセックスを詠っても、どこか浮いてしまう。また女性の〝性〟に引き付けた俳句表現は、独自性を表現できるようで、意外と脆い。女流俳人の性的な俳句は、実質的に俳句文学の余技的アクセントとして扱われて来たのも確かだ。性差に関わらず、「古池や」などの、殺伐としているとも言える客観描写が俳句の王道であるのは変わらない。
(岡野隆)
こういった男性的風土の中で、恩田さんの俳句はひときわ光っていますねぇ。
愛ほしき嘘や秋刀魚の焦げ剝がす
朝寒の貝殻骨をぐいと引く
晴天や枯れたらきつと逢ひませう
男来て出口を訊けり大枯野
ゆきゆきてなほ体内や雪女
吊し柿こんな終わりもあるかしら
香水をしのびよる死の如くつけ
あめつちは一枚貝よ大昼寝
恩田侑布子
岡野さんは『恩田氏の俳句は女性ならではのものだと思うが、それは奇矯さを伴う性的表現ではない。その艶めかしさは俳句の王道に立脚しながら、それに女性性という新たな表現の厚みを加えている。ふてぶてしくも艶めかしい』と批評しておられます。じっくりお楽しみください。
■ 岡野隆 『詩誌時評・句誌』『No.069 恩田侑布子『夢洗ひ』「冬三日月」(角川俳句 2017年01月号)』 ■
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