大野ロベルトさんの連載映画評論『七色幻燈』『第十二回 桃色の夢』をアップしましたぁ。映画の中の桃色について論じておられます。大野さんが書いておられますが、東洋では『桃源郷』のイメージで桃色が使用されています。ただ濃すぎると血になって、バイオレンスとか生命の危機のイメージを喚起してしまうわけで、なるほど色というのは人間精神に直結した大事な表象であります。
もちろんこの場合、ユートピアは常に「ディストピア」に変貌する可能性を孕んでいるということになるが、この映画のメッセージは決して後ろ向きなものではない。ユートピアが字義通りには「存在しない場所」を意味することは周知の通りだが、おそらく私たちの思い出こそ、最も重要なユートピアであろう。たとえ悪によって踏みにじられようとも、幸福な思い出には誰も手出しができないのだ。これはアンダーソンのあらゆる作品に共通する主張と言えるが、小津安二郎の影響と言われる、きわめて定い位置からの定点観測のようなシーンの多用も、観客に安心感を与えつつ、どことなく郷愁を誘う効果があり、監督の人生賛美の哲学に似つかわしい。
(大野ロベルト『桃色の夢』)
桃色は東西を問わず、世界のどこでももっと幸せな場所に行きたい、あるはずだという色の表象になっているようですね。じっくりお楽しみください。
■ 大野ロベルト 連載映画評論 『七色幻燈』『第十二回 桃色の夢』 ■
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