山本俊則さんの美術展時評『No.071 『ピエール・アレシンスキー展』』をアップしましたぁ。東京文化村のBunkamura ザ・ミュージアムで開催されたピエール・アレシンスキー展の批評です。アレシンスキーは日本ではあまりなじみがありませんが、ベルギーを代表する現代作家の一人のようです。作品を見るとアンフォルメル系の画家のようですね。
アンフォルメルというと、なにやら難しげに聞こえますが、フランス語で〝非定型の芸術〟を意味する言葉というだけのことです。代表的作家はなんと言ってもジャン・デュビュフェでしょうね。その名の通りアンフォルメルは抽象絵画なのですが、デュビュフェはそこに人間の生の根源のようなものを見出しました。子供が色と線を書きなぐる衝動に近いかな。デュビュフェがアール・ブリュット(フランス語で〝生[なま]の芸術〟)という、精神障害者などの絵をコレクションした理由もそういうところにあります。
アレシンスキーさんは1927年生まれで今年で90歳ですが、まだ現役で活動しておられます。デュビュフェよりも25歳年下なわけで、そのあたりの世代間・時代の差も含めて山本さんはアレシンスキー芸術について論じておられます。
アレシンスキーの五十年以上にわたる画業を見ていると、この画家は〝一人二十世紀〟だなとつくづく思う。遅れてやって来た、二十世紀的な最後の前衛画家だと言ってもいいかもしれない。様々な画家やイズムから影響を受け、それを消化して独自の画風を追い求めている。ただアレシンスキーは古典的心性を持つ画家でもある。あくまで一つのキャンバスの上で、色と形と構成で自己の世界を表現しようとする。またどんなに抽象的に見えようとも森は森なのであり、それを取り巻く世界の諸相が周縁に広がっている。アレシンスキーは調和を求める画家でもある。
(山本俊則)
的確なアレシンスキー論だと思います。じっくりお楽しみください。
■ 山本俊則 美術展時評『No.071 『ピエール・アレシンスキー展』』 ■
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