大野ロベルトさんの連載映画評論『七色幻燈』『第九回 溶ける石と本』をアップしましたぁ。大野さんは映画セットの中の大理石について、『大理石は熱や圧力で変成を来した石灰岩であり、現在の雲南省にかつて存在した大理国がこれを多く産したことから、その名で呼び習わされている。(中略)大理石は複数の色が溶け合い、波紋や木目のような表情を持つところから、邸宅の柱や装飾に多用されたのである。マーブル模様という言葉が日常的に使用されていることからもその普遍性は明らかだが、そもそもマーブルの語源は「輝く石」だから、大理石は美と富そのものの象徴であったといっても過言ではない』と書いておられます。なるほど。
また欧米の映画でしばしば目にする図書室について、『学者の書斎とか、紳士クラブの図書室を目の当たりにするたびに、私たちはある馬鹿げた疑問を抱くものだ。つまりその書物に囲まれた空間の住人は、果たして本当に万巻の書物を読んでいるのだろうか、という疑問である。(中略)要するに図書室や書斎に置かれた書物というものは、日本庭園でいうところの借景のようなものである。それは一山の書物による、巨大な知の提喩なのだ』と書いておられます。やっぱそうだよなぁ(爆)。
現代では、書物はますます〝知の提喩〟になりつつあります。書物は〝情報〟であり〝物〟であるわけですが、この2つのバランスが今後どうなってゆくのかは、過渡期なのではっきりとはわかりません。ただ書物の〝物〟としての物理的・心理的〝重さ〟は必然的に軽くなってゆくでしょうね。作家と出版社はそれがメインストリームになるだろうといふ予測を持って、戦略を立てていった方がいいように思います。
石川は古い人間ですから、紙の書物には強い愛着がごぢゃります。ただ現在は、今まで紙の本でしか読めなかったものが情報化され、発信された膨大な情報の中からほんの一部が紙の本になるといふ時代です。変化はゆっくりしているようで、振り返ってみると意外な早さで訪れたなぁといふ感じになると思います。今は作家も出版社もかなり舵取りが難しい時代になったのは確かであります。
■ 大野ロベルト 連載映画評論 『七色幻燈』『第九回 溶ける石と本』 ■
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