第03回 文学金魚新人賞(文学金魚奨励賞)受賞作 青山YURI子さんの新連載小説『ショッキングピンクの時代の痰壷』『No.001 人=家=人』をアップしましたぁ。青山さんの文学金魚新人賞のお写真もよござんしたね。壇蜜系の美人女流作家さんです。
文学金魚、別に見目麗しい新人作家を探しているわけではないですが、作家さんには基本、使えるものは全部使うようにとお願いしています。そうしなければ、これからの文学界、生き残れないと思います。もちろん最後は作家の文筆力が勝負です。だけど特殊な経歴とか美男美女だとかで読者に記憶してもらえるならそれはそれでよし。もったいぶった文学者先生が一番アカン。語学力でも趣味でも使えるものは全部使った方がよろし、であります。
「21世紀の建物、21歳の日本人の女の子。ほら、肌なんかこんなに艶々で…」って日焼けしてオレンジ色をした1階の壁を指す。石の壁に織り交ぜられたレンガの肌の調子、焼かれ具合とか艶の有無のことか。
これはわたしだけが知っていることだが、中二階から地上へと降り注ぐよう広がった屋根はわたしのスカートが翻って、逆向きになったものだ。その日わたしはザラで買ったシフォン素材の黒のプリーツスカートを履いていたので、この屋根にはグレーのタペストリーガラスが素材に充てられ、瓦の形に切り取られた無数のピースが折り重ねられ出来ており、地上に向かって優雅に垂れていた。一つ一つが透けたグレーの“瓦“で、それは見事だった。
(青山YURI子『人=家=人』)
『人=家=人』は日本人の女の子がスペインで建物になってしまうお話です。ただ彼女はそれを嫌がっていない。家になるとそれはそれで満足して家の勤めを果たそうとする。こういった水が流れるように何かに憑依してゆく記述に、青山さんの作家的資質がよく表れています。
『ショッキングピンクの時代の痰壷』は前衛小説的に見えますが、変わった小説を書こうとして意図的に書かれた前衛小説とはちょっと違うと思います。作家は日本語で書かれる小説文学の中で、独自の居場所を求めている。面白い作家の登場です。
■ 青山YURI子 新連載小説『No.001 人=家=人』 縦書版 ■
■ 青山YURI子新連載小説『No.001 人=家=人』 横書版 ■
■ 第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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