佐藤知恵子さんの文芸誌時評『No.026 オール讀物 2016年01月号』をアップしましたぁ。長部日出雄さんの『原節子の全体像』と恩田睦さんの『夜間飛行』を取り上げておられます。んで昨日ノーベル賞の授賞式がありましたが、佐藤さんはボブ・ディランさんについてちょっと書いておられます。
ディラン先生のノーベル賞受賞は、世界的な文学評価の流れが変わったというサインかもしれませんわ。エンタメ小説的要素を削ぎ落としただけじゃ、もう誰も純文学と思ってくれないってことよ。これだけ本が売れなくなっている世の中じゃ、面白くて、それプラス読み終わっても何か心に残る要素がある小説が純文学とみなされるようになるのは自然の流れよね。(中略)
もひとつ面白かったのは、あれだけの大スターなのに、ディラン先生に直接コンタクトできる人がほとんどいないらしいってことね。(中略)それにはもちろん創作者が聴衆や読者を惹きつける力を持っていなければならないわ。だけどそういう力を持っている創作者は、必要以上に節を折ったりおもねったりしなくてよくなるわね。ディランさんが神話的ミュージシャンだっていうのはそういうことよ。世間的な常識を越える力をお持ちだってことよね。人任せじゃなくてご自分で意志決定ができるのよ。
(佐藤知恵子)
創作者が自己の作品や能力に関して、ちょっと傲慢なほどの自信を持っているのは当たり前のことです。ただそれは独りよがりなものであってはいけません。自信があるならどこかの時点で結果を出さなければなりません。力を出し切れるプラットホームさえあれば必ず結果を出せると思っている作家は自力でプラットホームを作ってもいいのです。もちろん文学金魚はそういったプラットホームでありたいと思います。
もちろんどんなメディアにも一定の基準や好みはあります。しかし一定の折り合えさえつけば、文学金魚ではかなり好き勝手なことができます。作家の最良の部分を面白がって引き出すのが文学金魚といふメディアの方針です。ただその結果は人任せにはできません。継続的に書けなくなったとしても、書いて発表する場が十分に与えられていて、もし結果が出なかったとしても、それは究極的には作家の全責任です。失敗も成功も自分の能力で獲得するといふのが、文学金魚メディアが作家に求める一番の指針です。
■ 佐藤知恵子 文芸誌時評 『No.026 オール讀物 2016年01月号』 ■
■ 第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項 ■
第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
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