鶴山裕司さんの演劇金魚『No.011 Project Nyx 第15回公演『かもめ 或いは 寺山修司の少女論2016』』をアップしましたぁ。今月30日(日曜日)まで芝居砦・満天星で開催されている『かもめ 或いは 寺山修司の少女論2016』の演劇評です。『Project Nyx(プロジェクト・ニクス)は劇団・新宿梁山泊の女優・水嶋カンナさんが立ち上げた演劇ユニットである。宇野亞喜良さんが総合美術を担当し、梁山泊の金守珍(キムスジン)さんが演出を手がける』ユニット劇団です。母胎は劇団・新宿梁山泊です。
『かもめ 或いは 寺山修司の少女論2016』は、寺山修司の少女小説『かもめ』を題材にした演劇で、Project Nyxによって大胆に舞台化されました。鶴山さんは『マルチメディア系の複雑な構成と演出が寺山作品にはふさわしい。Project Nyx版『かもめ』でエンドロールのように流れる言葉を読みながら、寺山修司芸術の本質を描いた演劇映画を見たように思った』と批評しておられます。鶴山さんはまたアングラ演劇についても書いておられます。
アングラ演劇とはなんなのだろうか。アメリカのアンダーグラウンド・カルチャーから生まれた言葉だとも言われるが、日本のアングラ演劇には夜店のアセチレンランプと見せ物小屋のうさん臭い雰囲気が漂う。徹底した物質文明の影であるアメリカン・アンダーグラウンド・カルチャーとはほど遠い。だから日本のアングラはANGURAとしか表記しようのないものなのだが、オリジナルが持っていた〝地下性〟は共通している。
乱暴な言い方をすれば、日本のアングラが意味しているのは〝無意識〟のことだと思う。人間の意識下の欲望や思想やイメージを、舞台という、あからさまに明るく即物的な場にさらけ出す演劇である。寺山は表現の核を抱えた作家だが、それを隠し守るために膨大な無意識的引用をパッチワークのように行った。しかし唐のそれは質が違う。唐の無意識は舞台上に引きずり出してみて初めてなんらかの意識として結晶する。その意味でProject Nyxが実験してみせたように、寺山戯曲は改変や再構成が可能だ。寺山的演劇構造を把握すれば、オリジナルに様々な要素を付け加えることができるのである。しかし唐戯曲ではそれは難しい。唐作品では無意識の網の目が言葉の端々まで有機的に絡み合い拡がっている。こういった劇は、世界中探しても日本のANGURA演劇の中にしかない。
(鶴山裕司『Project Nyx 第15回公演『かもめ 或いは 寺山修司の少女論2016』』)
こういったアングラ演劇の捉え方を、石川は初めて読んだかもしれない。短い劇評ですがもしかすると画期的アングラ演劇論かもしれません。もちろんこういった思考を引き出したのはProject Nyxさんの『かもめ 或いは 寺山修司の少女論2016』です。ネットで見るとまだ7公演くらいありますね。ご興味をお持ちになった方は是非劇場に足をお運びください。
■ 鶴山裕司 演劇金魚 『No.011 Project Nyx 第15回公演『かもめ 或いは 寺山修司の少女論2016』』 ■
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