純文学エンターテイメント作家、遠藤徹さんの連載小説『ゆめのかよひじ』(第08回)をアップしましたぁ。『こうつうじこびょうとう』(後編)です。病院に着いた女の子はお医者さんとお話するのですが、遠藤さんのブラックなユーモア全開です。
ドクターはゆびをちょいちょいとふりました。
「こどもだからよくしらないようだね。がっこうには、ちゃんといってるのかい」
「ええもちろん」
あたしは、むねをはってこたえました。がっこうにいっているから、わかるのです。ほんとうのびょういんとはなにかが。
「じゃあ、よくおきき。いいかい、わたしたちドクターのやくめはね、かるいびょうきをおもくしてやり、かるいけがをひどくしてやることなんだよ。そして、なんでもないひとをびょうきにしたり、けがにんにしたりもするんだよ」
「そんなばかな」
(遠藤徹さんの連載小説『ゆめのかよひじ』)
言葉によって主人公がどんどん追い詰められてゆくのが、遠藤さんの小説の一つの定石です。病院のくだりもそうなのですが、このブラックなテイストが単なるノンセンスにならないのは、お医者さんの言葉がある真理をほのめかしているからです。お医者様は、人間の心の中に巣食う闇を曝くのが病院の役割だと言いたげです。
このラインを辿ってゆくと人間存在はどん詰まりに達することになります。必然的に死と絶望の領域に達するわけです。そういった小説も遠藤さんは書いておられます。ただ作家は常に常に同じ物語の終着点に留まっているわけにはいかない。『ゆめのかよひじ』は遠藤文学でのターニングポイント作品になるかもしれませんね。
■ 遠藤徹 連載小説 『ゆめのかよひじ』(第08回) pdf版 ■
■ 遠藤徹 連載小説 『ゆめのかよひじ』(第08回) テキスト版 ■
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第04回 金魚屋新人賞(辻原登小説奨励賞・文学金魚奨励賞共通)応募要項です。詳細は以下のイラストをクリックしてご確認ください。
■ 予測できない天災に備えておきませうね ■