日本が誇る世界的特殊作家、三浦俊彦さんの連載小説『偏態パズル』(第93回)をアップしましたぁ。おろち学会では常日頃から活発な議論が交わされているのです。こういったシンポジウム的議論の描写は、学者さんでもある三浦センセならではかもしれません。森鷗外は『要不要を抜きにしなければ学問は成り立たない』とおっしゃいましたが、確かにそうですな。でもおろちについての白熱議論を書けるのは、三浦センセだけだらうなぁ(爆)。
「壱原の反印南的要素は、蔦崎や袖村のとは違って、印南の嫉妬を喚起するソフト要因ではなくて、むしろ直接的脅威で迫るハード要因であるため、相乗作用で印南を窒息的に締めつけていったものと推測されます」
「体質者だけでは寄ってたかっても倒れなかったはずの印南哲治。作為的努力の権化・壱原光雄投入で崩れ落ちるの巻。しかし蔦崎も袖村も壱原光雄とは金妙塾内で同席したことがなかったし、ましてや共謀なんてしてなかったんですけどね」
「中村くんがおろちミクロ史学的観点から先週発表してくれたことを信ずるならばね」
(三浦俊彦『偏態パズル』)
おろち学会では印南哲治事件も真摯に議論されています。しかし〝事実〟は奇妙なものです。大事件は決定的出来事ですが、その衝撃が過ぎると原因の分析が始まります。そうすると、ちょっと前まで自明と思われていたことが、だんだん怪しげに見えてくる。様々な仮説が立てられるのですが、事実とピッタリ一致するものはなかなかない。原因は精神的なものですが、事実は行動でありそこには飛躍があるからです。
通常の小説は一つの仮説を元に書かれるわけですが、三浦センセの『偏態パズル』は原因的精神と飛躍的事実との齟齬を徹底分析・究明しやうとします。小説文学のセオリーを崩す小説なのでありますぅ。
■ 三浦俊彦 連載小説 『偏態パズル』(第93回) pdf版 ■
■ 三浦俊彦 連載小説 『偏態パズル』(第93回) テキスト版 ■
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