松本和也さんの演劇金魚『No.009 可能世界の万華鏡──ミクニヤナイハラプロジェクト『東京ノート』(作:平田オリザ、演出:矢内原美邦)』をアップしましたぁ。松本和也さんが最も注目しておられる演劇人・平田オリザさん原作で、演出は矢内原美邦さんです。松本さんには『平田オリザ 〈静かな演劇〉という方法』という著書もあります。矢内原さんですが、松本さんの文章を引用すると『振付家にしてダンサーで、ニブロールというカンパニーで、いわゆるコンテンポラリー・ダンスの人』です。矢内原さんは『前向き!タイモン』(初演2010)で第56回岸田國士戯曲賞を受賞しておられます。
平田オリザさんは劇団青年団主宰で、当然『東京ノート』もご自分の劇団で上演しておられます。静かな演劇といっても言葉重視の作家ですから、ダンスという肉体表現中心の矢内原美邦演出はスリリングなものにならざるを得ません。それを松本さんは、『矢内原演出版『東京ノート』においては複数の現実が、同一の舞台上で同時に上演されていたことになる。こうした様相を、“可能世界の万華鏡”と呼んでみるならば、台詞も動きも最小に抑えて、日常がリアルに見えるポイントを、文字通りピンポイントにねらうことで画期を成した青年団版『東京ノート』とは対極からのアプローチ──つまりは、台詞も動きも表層に応じて過剰に表現しつつ、現実の複数性を舞台上で並置して上演することで、リアルを現出させようとすること──によって、その実、同じ的をねらった、“静かな演劇”に対する挑戦‐応答と位置づけることができるはずだ』と批評しておられます。
演劇は一回性の芸術ですが、そこには舞台ごとに微妙に出来が違うという意味と、演出によって大きく劇空間が変わってしまうといふ意味があります。小説や詩などを読み慣れた読者が戯曲を読むと、チェーホフなどの小説と呼んで差し支えない戯曲以外は、ほとんど情景が浮かんで来ないと思います。もちろん初演の記憶がその後の演出のベースになるわけですが、解釈つまり演出の可能性は無限にあります。矢内さんのインタビューを読んでも、彼の演出の『東京ノート』は、オリジナルの現代性をさらにアップデートした斬新なものだったようです。
■ 松本和也 演劇金魚 『No.009 可能世界の万華鏡──ミクニヤナイハラプロジェクト『東京ノート』(作:平田オリザ、演出:矢内原美邦)』 ■
Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー開催(新人支援プロジェクト)
Web文芸誌のパイオニア 総合文学ウェブ情報誌文学金魚は、文学金魚執筆者によるシンポジウムと参加者の自由な質疑応答による参加型セミナーを開催します!。
・日時:2016年06月18日(土曜日)
・開始時間:午後03時30分~
・場所:近日中に発表します
・参加費:3.500円
■ テーマとプログラム(予定)■
【テーマ】ジャンルの越境
純文学ラノベ、ロマンチック・ミステリ、純文学ホラー、自由な物語詩など、従来の文学ジャンルとは異なるオルタナティヴな文学を創り出すことを目指します。
【司会】
山田隆道(作家・TVコメンテーター)・小原眞紀子(詩人・東海大学文学部文芸創作学科非常勤講師)
■ プログラム(予定)■
① シンポジウム
第一部 偏態小説と純文学エンタメ小説について
三浦俊彦(作家・東京大学大学院教授)
遠藤徹(作家・同志社大学教授)
第二部 ラノベと(純)文学について
仙田学(作家)
西紀貫之(作家・フリーライター)
② リード小説大賞決定!
山田隆道(作家・TVコメンテーター)発案のリード小説(詳細は下記または『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)の大賞を決定し、大賞・奨励作については文学金魚への作品掲載を検討(バックアップ)します。
③ 第3回金魚屋新人賞第一次審査通過作紹介
④ 懇親会
いけのり(占い師・エッセイスト)の占いコーナーなど。
【Web文芸誌のパイオニア 文学金魚大学校セミナー(新人支援プロジェクト)の趣旨】
・才能ある若い作家の作品が発表できない、キャリアのある作家なのに一番出したい本にかぎって出ない、学者の卵の奨学金ですら返還義務があるなど、現在ではさまざまなジャンルが細分化され、文化間の交流がなくなっています。
・こんな時代だからこそ、文学金魚は創作者と読者、ジャンルとジャンルを繋ぐメディアとして誕生しました。
・セミナー参加者は新しい文学と出版カルチャー誕生の当事者・目撃者になれるかも!
・読むことと書くことの、あのワクワク感をみんなで取り戻そう!
【リード小説とは ~あなたの〝リード小説〟大募集!~】
・リード小説とは、あなたがすでに書いた、あるいはこれから書こうとしている未発表オリジナル小説の大筋やセールスポイント等をまとめた、映画でいえば、予告編です。
・文学金魚大学校第01回セミナーのお題として、書き下ろしリード小説をツイッター上で大募集します。完成原稿があるかどうかは問いません。
・選考は山田隆道(『第一回『文学金魚大学校セミナー』開催記念インタビュー リード小説の意義について』参照)が行います。講師の文学金魚連載作家陣も選考に加わります。リード小説から作家デビューの扉が開かれるかも。
・試されているのは自己プロデュース能力です。気楽に楽しんでください!
【総合文学ウェブ情報誌文学金魚について】
・文学金魚はジャンルの垣根を取り払い、文化融合的な状況の中から新たな日本文化を創・出することを目指します。
・セミナー参加者は楽しいお題で盛り上がるもよし、懇親会で人脈を広げるもよし。新たな文学シーン誕生のワクワクする瞬間、その当事者・目撃者になれるかもしれません。
・今は積極的に自己アピールし、様々な方法で作家としての活路を切り開いてゆける時代です。ネットと紙出版のインタラクティブな関係性にリアルな人間の息吹きを吹き込んで、文学カルチャーのホットスポットを創り出そう!