山際恭子さんのTVドラマ批評『No.103 トランジット・ガールズ』をアップしましたぁ。久しぶりのTVドラマ批評です。『トランジット・ガールズ』はフジテレビさんで土曜日23時40分から放送されていた深夜ドラマです。姉妹、といっても義理のですが、レズビアンもののドラマです。ん~ドラマを見るのは女性が多いやうに思いますが、レズビアンものってそれなりに視聴率が取れるプログラムなのかな。それにあんましホモセクシュアルものってないし。そこんところの事情、テレビ関係者に一度お聞きしたひものです。
ただ『トランジット・ガールズ』は、深夜枠らしく意欲的なプログラムです。山際さんは、『こういう企画はこれまで少なくともマス・メディアにおいては、マーケティング不能な泡沫企画として消えてきたと思われる。その状況が変わったのは時代のせいではなく、言うまでもなく『アナと雪の女王』によるだろう。それはディズニー映画としては、従来的なディズニー映画的なるもの、すなわちいつか王子さまが、という文脈に対する批判だ、ともとれる。ならばこれも従来のテレビドラマ的なるもの、すなわちボーイ・ミーツ・ガールの文脈への批判が含まれるとみるべきだろうか』と書いておられます。従来の文脈を破ってみようとするドラマだといふことですね。
でも両親の再婚への反発や、ボーイ・ミーツ・ガールといった鉄板的文脈を破るのはむちゅかしひ。テレビはもちろん〝絵〟で見せなければならないわけですが、従来的文脈を破るにはまず思想的なものが確立されている必要があります。レズビアン的絵を見せたいだけなら、やはりキワモノ扱いで終わってしまふでせうね。山際さんは『この曖昧さ、寄る辺のなさこそは従来の社会的な文脈が避けよう、避けようとしてきたものだ。それを商品化できるほど批判意識が成熟し、完成したのかどうかは定かではない』と批評しておられます。
■ 山際恭子 TVドラマ批評 『No.103 トランジット・ガールズ』 ■