金井純さんの連載BOOKレビュー『親御さんのための読書講座・中学受験篇』『No.043 『都の子』 江國香織著』をアップしましたぁ。江國さんのエッセイ集を取り上げておられます。江國さんはエッセイの名手でもあります。金井さんは『著者の世界の事物への目線は独特だが、単に子供時代の記憶と感覚を繊細かつ鮮明に再現しているだけとは言えない。そのものの見方、すなわち立ち位置が揺るぎないことこそ注目すべきであって、よるべなき子供らしさとこの確信の両立がどこから来るのかこそ、読み解かれるべきものだろう』と批評しておられます。
石川は江國香織さんは、現代で最も重要な作家の一人だと考えています。この作家がときおり大衆作家と捉えられていることには大いに異議があります。作品を量産していて売れているから大衆作家として分類されがちなんぢゃなかろか。しかし江國さんは間違いなく純文学作家です。それは時間が経てばはっきりするでしょうね。文壇もまた、いまだに男社会です。江國さんや井上荒野さんに授与されたのは直木賞ですが、まったく理解できない。浮世離れした観念小説なら芥川賞で、地に足が付いていて読者の共感を呼ぶ観念小説なら直木賞ってか、と思ってしまひますね。まー賞によるレッテル貼りなどいい加減なものでふ。
江國さんの小説に至高点とでも呼ぶべき観念の高みがあることは、彼女の読者ならよくご存じだと思います。しかしそれは地を這うような具体性を持っている。一昔前に古井由吉さんが唱えたエッセイイズム的なエクリチュールだと言ってもいいですし、王朝文学的なそれとも近似しています。たいていの場合、至高点は〝男〟で表象され、具体的現実世界は女たちの秘めやかな会話(コミュニティ)から構成されるという点でも王朝文学的かもしれません。エクリチュールフェミニンだと言ってもいいですけんど。
■ 金井純 連載BOOKレビュー 『親御さんのための読書講座・中学受験篇』『No.043 『都の子』 江國香織著』 ■