星隆弘さんの荒木経惟論『荒木経惟ポラロイド写真論――『不可侵の暗室、不可視の私室』』をアップしましたぁ。荒木さんは『ポラエヴァシー』(2000年刊)と『POLART』(2009年刊)の二冊のポラロイド写真集を出しておられます。また毎月下北沢のLA CAMERAでポラロイド写真展を開催しておられます。星さんのコンテンツは荒木さんのポラロイド写真を巡るもので、「「量・反復・時間操作」というシステムに支えられた荒木の写真シリーズのうちで、もっとも静謐でありながらダイナミックに展開しているのは、ポラロイド写真であろう」と書いておられます。
不肖・石川は持っていないのですが、『POLART』は面白い作品集のやうです。星さんは、「ポラとアートの接続。・・・・それはポラをアートの手法で再構成し、「図」を再発見しようとする試みではないか」と書いておられます。荒木さんはしばしば写真にペインティングをなさいますが、それをポラロイドでもやっておられるのですね。こういう作業は楽しいだろうなぁ。でも安易にまねしちゃダメですよ。人間は人間に対するプロフェッショナルであり、人間が作り出したアートがホンモノであるかニセモノであるか、すぐに見抜いてしまいます。荒木さん的な写真はやろうと思えば誰でも部分的に再現できますが、それを一貫した作品群のまとまりにするのは難しいのでありまふ。
星さんが引用されている荒木さんと飯沢耕太郎さんの対談によると、荒木さんは飲み屋で女の子をポラで2枚撮って、一枚をプレゼントしてもう一枚を写真展や写真集で使ったりしておられるやうです。こういふところ、荒木さんは軽いんだなぁ。写真といふものの本来的な軽さを生きておられる。じっくり読んでお楽しみください。
■ 星隆弘 荒木経惟論 『荒木経惟ポラロイド写真論――『不可侵の暗室、不可視の私室』』 ■