山際恭子さんのTVドラマ批評『No.081 問題のあるレストラン』をアップしましたぁ。もう放送終了してしまひましたが、真木よう子さん主演で、東出昌大さん、二階堂ふみさん、YOUさんらが出演しておられました。山際さんはのっけから「数字が振るわなかったという。さもありなん。真木よう子が主演なので第一回から観ようとしたが、その回の最後まで保たなかった」と書いておられます。でも魅力のないドラマではなかったやうです。
山際さんは「出来が悪いわけではないのである。むしろ非常に丁寧に作られている。セリフもいい。ありきたりでなく、才気に溢れ、だが奇をてらうというほどでもない。役者も皆、すごく上手い。演出にも工夫、気持ちがこもっている。なのに初回、観ていられなかった。テレビドラマとは因果なものだ。作り手の熱意がそのまま、いいかげんな視聴者にとって負担になってしまう」と批評しておられます。このあたりが視聴率が振るわなかった要因でせうね。
物語は「セクハラやパワハラに傷めつけられた女たちの抵抗のドラマ」であるわけですが、テーマのテレビ的な表現(消化)の仕方が問題だったやうです。たとえば山際さんは、「女の子一人に責任を被せた挙句、20人の取締役の前で素っ裸で謝罪させる」というシーンを取り上げて、「映画ならば裸体が映像として示されることで、その映像が目的だった、という説得力が増す」が、「テレビドラマではリアリティのなさに映る」という意味のことを書いておられます。
演劇も映画、テレビドラマ、小説も物語が中心であり、エンタメの世界は物語がなくてはにっちもさっちもいかないわけです。しかしその表現の方法にジャンル固有のルールのやうなものがあるやうです。それを破ることが新しさにつながるわけですが、ただ破ったのでは視聴者(読者)を引きつけられない。どこを抑えてどこを破るのかを考えなければならないでせうねぇ。
■ 山際恭子 TVドラマ批評『No.081 問題のあるレストラン』 ■